2022年7月1日(金)〜11月6日(日)で実施した「RICOH THETA フォトコンテスト2022」の入賞作品、及び各テーマのグランプリと準グランプリを決定しましたので発表します。
応募総数 約500作品の中から厳正なる審査を経て、募集テーマ「日常」「風景」「アート」のそれぞれに対して選出しています。
また、今年は審査員からの希望もあり、入賞50作品にプラスして「イグ・ノーベル賞」ならぬ「ig THTEA賞」を設けました。
入賞された皆様、おめでとうございます。
入賞者にはアンバサダーポイント30ポイントを付与、各テーマグランプリの受賞者には、Amazonギフト券1万円分、各テーマ準グランプリ受賞者には、THETAオリジナルグッズ、ig THTEA賞には賞状をお送りします。
なお、入賞作品はRICOH THETA 公式写真展 「Beauty is all around」 で展示いたします。
さっぽろ創世スクエア 北海道札幌市中央区北1条西1丁目6
展示期間:2023年1月6日(金)~9日(月)
入場料:無料
Place M 東京都新宿区新宿1-2-11 近代ビル3F
展示期間:2023年1月23日(月)~29日(日)
入場料:無料
RICOH THETAフォトコンテスト2022/公式写真展”Beauty is all around 2022-2023” 開催について詳しくはこちらをご覧ください。
https://www.thetalab.ricoh/info/12976/
【グランプリ】
日常
Kaori M. Takase 「初めまして」
選評:日常ってなんだろう。いつもの生活、日々の暮らし、孤独、家族との語らい、毎日のルーティーン、通勤、通学の道程、馴染みの風景、気楽な会話、普段着、ペットとのふれあい、見慣れた街並み、スマイル、家族や友人の輪、和、話……。そんな「素」に流れる時間と空間が「日常」であり、それをあるがままに写すのがTHETAだ。
素の撮影者、素の被写体、素の360度。そのような日常感に満ちた作品は多い。応募475点のうち最もストレートに日常を表現しているのは、どれか。
そこにもう一つ「素」の要素を加えて評価したらグランプリが浮き上がりました。その要素とは「素のTHETA」。いわゆる「シータ棒」や三脚を使わず、素のままのTHETAで撮影し、撮影後にも特殊な加工をしていない日常描写。それがこの作品「初めまして」。
初対面の5人なのでしょう。コメントにも「初めての出会いにいい記念の写真を撮ってみました。」とある。偶然か、必然か、全員が黒の装い、ピュアな笑顔。立ち止まる素顔の5人とは対照的に、渋谷のスクランブル交差点を渡る夥しい数の人々、同じ広告を繰り返し流す街頭大型ビジョン、後ろを走る山手線、ビルの中に息づくオフィス、そして着々と進む再開発の現場にも、無数の日常が流れている。作為的な技巧も加工も用いず、360度、まぁるい素の全天球画像が、あまりにも多様な都会の日常を写し出す。
加えて素のTHETA。ホールドする手まで写り込むのがTHETAの王道。素の撮影スタイルが好き。
素の人生をありのままに写すTHETAの日常性をストレートに用いた作品。円満に表現した都会のダイバーシティが素晴らしい!!
(塩澤一洋)
風景
hktypo 「桜ミストに囲まれて」
選評:一見THETAらしくない作品という印象を持つ人もいるでしょうか。作者はリトルプラネットなど360度写真の定番スタイルや夜景シーンなどでも鹿と桜を被写体にした作品を複数応募されていましたが、その中でも主役の存在感と絶妙なワイドアングルに目を奪われる本作品が風景部門のグランプリに選ばれました。
澄ましたような顔の鹿はポートレート的でもあり、HDR撮影の美しい背景に陽光のアクセントが幻想的な世界感を引き立て、いつまでも眺めていたくなる光景です。THETAでもこのように素晴らしい写真が撮れることを知らしめる説得力はじゅうぶんありますが、実は小型で動物にも警戒されにくくリモート撮影も手軽に行えるTHETAだからこその作品とも言えるでしょう。最高のシャッターチャンスにめぐり合い、それを確実に捉えて完成度の高い画として仕上げた作者の実力も含めて、THETAユーザーだけでなく一眼カメラユーザーからも嫉妬されるであろう傑作です。
(宇佐見健)
アート
阿部貴子 「Lots of apples」
選評:
「Lots of Apples (たくさんのリンゴ)」と名付けられたこの作品は、RICOH THETA が得意とするリトルプラネット型の投影法を横向90度に使うことで、前景にリンゴが美しく配置され、壁・柱・天井がフレーム効果を作りだすようになっています。写真の中心から広がる奥の世界には、作者の現実を象徴する台所が配置され、理想 (リンゴの楽園) と現実 (台所の生活) が一つの絵の中に収まり陰陽の文脈構造を持つ秀作です。
作中で「リンゴ」が使われた場合の象徴性については議論の余地がありますが、私は「知恵の樹の実」ではないかと考えてみました。リンゴを食べると、神と同じ善悪の知識を得てしまうとされる、楽園の伝説です。作者の阿部貴子さんは、前回のTHETA公式写真コンテスト アート部門のグランプリ作家で、てっぺんを取った人。「知恵の樹の実」を食べながら私たちを見つめている彼女のその横にはリンゴが並べられ、私たちにもリンゴを食べるように促しているようです。誘われるままにリンゴを食べたらどうなるのでしょうか? RICOH THETA 写真の魅了を写真の中に定着させた、アート部門 グランプリ作品。
阿部さん、連続受賞おめでとうございます。審査員一同、感服しました。
(シンヤB)
【準グランプリ】
日常
淺利 圭介 「絵本を読み飽きた息子と、ごーろごろ。」
選評:京都の国際漫画博物館で絵本を読み飽きた息子さんとの2ショットとのことですが、確かに芝生に寝転ぶ小さな身体からは思う存分好きな絵本を読み切った達成感のようなものが溢れ出ているように感じます。隣でTHETAでの撮影に集中しているお父さんとの対比もおもしろく、また二人の距離感も良いですね。まさに日常の親子の関係性も写した微笑ましい作品でほっこりした気分になります。
このような作品を目にするたびに、我が家も子どもが小さな頃にTHETAが欲しかったなぁとつくづく羨ましく感じます。今後もこのスタイルで撮り続けていくとお子さんの身長が伸びていく成長過程のよい記録になりますね。
(宇佐見健)
風景
osonoe 「長崎、日本三大夜景と花火」
選評:「長崎 (日本三大夜景と花火)」と名付けられたこの作品は、リトルプラネット型の投影法を使った360度写真効果も相まって、動いていない写真なのに、絶妙な構図バランスが動いているような感覚を生み出し、花火だけでなく一緒に映り込んでいる夜景も美しい、長い時間見入ってしまう写真となっています。
RICOH THETA は風景写真を撮影するのが難しいカメラです。全てを写し込む構造は、全てが小さく写ってしまうことにもなり風景が小さく感じられ、花火は難しいモチーフの一つですが、この作品では分かりやすい大きさで見せることに成功しています。
花火が流れていくスローシャッターの描写も、ブレて映り込む周りの人々も、この夜景の雰囲気を伝えるのに必要な要素です。ニューヨーク近代美術館 写真部門のディレクターだったジョン・シャーカフスキーは「写真家の眼」という展覧会の序論の中で「時間」について、撮影対象がブレたり止まったりする中に、ある種の快楽と美が存在することを写真家は発見したと書いていますが、その、ある種の快楽と美が、この360度の風景写真にも存在しています。
永遠と続く思い出を体験しているような感覚を覚える、風景部門 準グランプリ作品です。
(シンヤB)
アート
日下 理 「ワクワク積み木の世界」
選評:我が身より大きな怪獣を倒し続けるかわいい勇者、現る。しっかりマニュアル露出で「THETA S」を操った会心の1枚。THETAの描写特性をうまく生かしたTHETAらしい作品でありながらどこかTHETAっぽくないところに惹かれる。緑、黄、青、そして赤。4頭の怪獣が今にも彼女に襲いかかろうとしている迫力がどのようにして生み出されたか。分析してみよう。
垂直に積み重ねた4本の積み木が取り囲む位置にTHETAを配置。そこへ接近するお子さんの無垢な表情を絶妙なタイミングでスマホからリモート撮影。その全天球画像をぐりぐりと動かして縮尺とフレイミングを決めると、まっすぐな積み木が湾曲して迫り来る光景が現出する。これぞTHETAの妙。
積み木を前のめりな怪獣と捉えると、作画による湾曲感が消え、普通のカメラで真っ直ぐ写した写真に見えてくる。その怪獣たちをニコニコ迎え撃つお子さんを中央に配することで、絵の求心力が強い。右上にほんの少しだけ撮影者の眼差しが写り込んでいるところにTHETAらしさが垣間見える。
画材としてのTHETA使いが巧みだ。アート部門の評価に相応しい。
(塩澤一洋)
ig THETA賞
コジママサト 「THETA」
応募作品の中で特に審査員を無駄に悩ませたり、思わずクスっと笑わせるような作品と認められた場合にのみ審査員の合議により選出されることもあるig賞として選ばれました。
【入賞作品】